量子コンピュータはビットコインの署名を強化する=アダム・バック
量子物理学の進歩による計算能力の飛躍的向上により、量子コンピューティングが将来的に暗号アルゴリズムを破壊する可能性があると業界関係者は指摘している。しかし、これらの懸念にもかかわらず、量子コンピューティングはビットコイン(BTC)ネットワークをより強固にする可能性があると、ブロックストリームの共同創設者兼CEOであり、ハッシュキャッシュの発明者でもあるアダム・バック氏は述べている。
バック氏は12月21日のX 投稿 で、ポスト量子(PQ)暗号の実用化は「少なくとも数十年先」であり、ハッシュベースのPQスキームは現実的でないと指摘した。
「PQ署名の研究は、最終的には保守的かつ十分にレビューされた、よりコンパクトな署名を生み出すだろう。ビットコインはこれらのスキームをオプションとして追加できる。」
Adam Back on Bitcoin and post-quantum signatures. Source: Adam Back
ビットコインの署名は、BTC取引が他者によって改ざんされるのを防ぐ役割を担い、ネットワークのセキュリティメカニズムにおいて重要な部分を占めている。取引が発生すると、秘密鍵が使用され、ビットコインがアドレス保有者に属していることを数学的に証明する署名が行われる。
2024年12月6日にビットコインが初めて10万ドルの大台を突破したという歴史的快挙を達成した後、この仮想通貨のネットワークセキュリティに対する投資家の関心が過去2週間で一層高まっている。
グーグルの量子コンピューティングチップは仮想通貨への脅威か?
量子コンピューティングが仮想通貨取引に与える潜在的な影響への懸念が、グーグルの最新量子コンピューティングチップにより再燃している。このチップは、従来のスーパーコンピュータでも約10澗年(1澗=10の24乗)かかる計算問題を5分以内で解決できるとされている。
「ウィロー」と名付けられたこの新チップは、エラー修正を指数関数的に行い、驚異的な速度で特定の計算を処理する能力を持つと、グーグルの量子AI責任者ハートムート・ネーヴェン氏が12月9日のブログで述べた。
「この成果は、量子計算が多元宇宙で並行して行われているという考えを裏付けるものであり、デイヴィッド・ドイッチュ氏が最初に予測したマルチバースの概念に一致する」とネーヴェン氏は付け加えた。
テック起業家で元グーグル製品管理シニアマネージャーのケビン・ローズ氏は12月9日のX投稿で、「ウィロー」は仮想通貨に対する脅威には程遠いと述べた。
ローズ氏によると、ビットコインの暗号化を破るには、約1,300万キュービットの量子コンピュータが必要であり、24時間以内に解読を達成できるとされる。
「これに対して、グーグルのウィローチップは105キュービットであり、重要な進歩ではあるが、まだそのレベルには達していない」と述べた。
また、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、ポスト量子時代に備えている。ブテリン氏は、単純なハードフォークによってイーサリアムにおける量子コンピューティングのリスクを軽減する方法をすでに提案している。
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