デジタル資産の規制明確化を目指す「CLARITY法案」、米下院で超党派提出
業界の不確実性に対応
米下院議員らが、デジタル資産市場構造に関する立法案「デジタル資産市場透明性法案(CLARITY法案)」を5月29日に超党派で提出した。
下院農業委員会委員長グレン・”GT”・トンプソン( Glenn “GT” Thompson )氏(共和党)と下院金融サービス委員会委員長フレンチ・ヒル(French Hill)氏(共和党)が提出したこの法案は、第118回議会で超党派により可決された「21世紀のための金融イノベーション・技術法(FIT21)」を基盤としており、デジタル資産に対する包括的な規制枠組みの構築を目的としている。
法案の目的は、規制の不確実性を解消し、明確なルールを提供することで、米国におけるイノベーションの促進と消費者保護の両立を図る点にある。
主な内容として、規制及び監督機関の明確化などが挙げられた。商品先物取引委員会(CFTC)が「デジタル商品(digital commodities)」を監督し、証券取引委員会(SEC)は「証券(securities)」を監督する。
また、特定の条件を満たすデジタル資産は証券法の適用外とし、一定の条件を満たすブロックチェーンには規制の緩和も提案されている。
ステーブルコインの取り扱いについても発行体に応じた適切な規制機関が監督することが示された。
さらに、 取引業者とプラットフォームの登録要件についても明記されており、取引所、ブローカー、ディーラーは関係する監督機関への登録が必須とした。なお登録には、顧客資産の分別管理、利益相反の開示、適切な記録保持などの要件が含まれる。
なお、ユーザーによるデジタル資産の「セルフカストディ(自己保管)」の権利も明確に保護される方針が示されている。
この法案の共同提案者には、親クリプト派として知られる下院多数党院内総務トム・エマー(Tom Emmer)氏(共和党)も含まれる。
エマー氏は、「この法案は、インターネットの次なる進化が米国人によって開発され、私たちの価値観に基づいて推進されることを確保するための大胆な一歩だ。同僚たちがこの思慮深く、世界競争力のある枠組みを策定するために尽力してくれたことに感謝し、この常識的な立法が法律として成立するよう協力していきたい」と述べた。
なおエマー氏は、4月にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行・利用をFRBなどの連邦銀行に禁じる「CBDC反監視国家法(CBDC Anti-Surveillance State Act)」を提出しており、「この法案はプライバシー、個人の主権、自由市場の競争力という米国の価値観を反映している」と語っている。
参考: 発表
画像:iStock/AndreyPopov・sumkinna
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この記事の著者・インタビューイ
髙橋知里
「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
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