Circle、IPO需要の高まりを受けて資金調達目標を8億9600万ドルに引き上げ
投資家による関心の高まりを受けてCircleがIPOを拡大
ステーブルコイン USDC の発行元である Circle (サークル)社は、IPO(新規株式公開)に対する強い需要を受け、資金調達目標を当初の想定から大幅に引き上げた。
SEC (米国証券取引委員会)に提出された2025年6月3日(火曜日)付の 書類 によると、Circleおよび一部の株主は、当初予定していた1株あたり24~26ドル(約3,452円~3,740円)、2,400万株の売り出しから、1株あたり27~28ドル(約3,884円~4,027円)で3,200万株を売り出す形に変更。この変更により、同社は最大で8億9,600万ドル(約1,289億円)の資金を調達できる見込みだ。企業価値は、ストックオプションやワラントを含めた完全希薄化ベースで約72億ドル(約1兆円)に 達する とされる。
大手投資家の動向と市場環境の影響
IPO規模の拡大背景には、同社のステーブルコイン事業の成長だけでなく、仮想通貨に対する規制環境の変化もある。
特にドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が仮想通貨に友好的な姿勢を示したことや、米議会で審議中のステーブルコイン法案への期待感が投資家心理を後押し。Circleは上場によって透明性と信頼性を高め、金融機関や政府との連携強化を目指しており、IPO後は、米国証券法に基づく情報開示義務や四半期報告といった厳格な監査の対象となる。
注目すべきは、 ARKインベストメント・マネジメント が最大1億5,000万ドル(約215.7億円)分の株式取得を検討している点と、 ブラックロック (BlackRock)がIPO株の最大10%の取得に関心を示している点だ。いずれも拘束力のある契約ではないが、大手投資家の関心が集まっていることは間違いない。
関係者によると、IPOには強い関心が寄せられており、受付は現地時間6月4日に締め切られる予定。上場は ニューヨーク証券取引所 で行われ、ティッカーシンボルは「CRCL」となる見通しだ。
Circleの成長戦略と市場の展望
CircleはIPOに先立ち、国際展開と決済事業の強化を進めており、5月には、ステーブルコインを活用した国際決済ネットワーク「CPN (Circle Payments Network)」の稼働を発表。
これによりB2B決済やグローバルキャッシュ統合など、さまざまなユースケースに対応する体制を整えた。また1月には、USYCステーブルコインを発行していたHashnoteを買収し、自社のUSDCとの統合を進めている。USYCは仮想通貨取引所やプライムブローカーにおける利回り担保としての活用が期待されており、Circleの競争力強化に寄与する構えだ。
IPO市場全体でも回復の兆しが見られる。2025年第一四半期、米国内では59件のIPOが行われ、総額89億ドルが調達された。これは過去3番目に高い水準とされている。一方で、トランプ氏による追加関税発表や、それに伴う市場の急変動が一時的に影を落とした。SP 500指数が短期間で10%下落する中、複数企業がIPOを延期する状況となったが、その後は関税一部停止や利下げ観測が支えとなり、再び上場再開の動きが強まっている。
USDCを発行するCircleは、ライバルであるテザー(Tether/USDT)との競争が激化する中、透明性や規制対応の強化で差別化を進めてきた。今回のIPOによる資金調達で、グローバル展開と制度整備への対応をさらに進めるとみられている。
Circleの動向は、単なる一企業の上場にとどまらず、仮想通貨市場におけるステーブルコインの主導権争いを占う重要な指標として、今後も注視されるだろう。
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