マレーシア、不透明な政策の中で違法仮想通貨マイニングが急増

マレーシアで違法仮想通貨マイニングが急増

マレーシアでは、不透明な政策と低い電気料金が原因で、違法な仮想通貨マイニングが深刻な問題となっている。

マレーシアは、強力なインターネット接続と豊富な水力発電を背景に、約30億ドル規模の仮想通貨マイニング市場に参入する上で有利な立場にあるものの、現時点で仮想通貨取引所を規制している証券委員会には、マイニングに関する具体的な枠組みがない。違法マイニングと規制の欠如により、マイニングリグへの電力供給を目的とした電力の盗難がまん延し、電力会社は多額の損失を被り、公共の安全に対する懸念も高まっている。

違法マイナーによってまん延する電力窃盗、一貫性のない政策、そして法的透明性の欠如が、マレーシアが仮想通貨マイニングの潜在的可能性を活用できない要因となっている。マレーシアでは、2018年から2023年の間に、違法仮想通貨マイニングによって約7億2,300万ドル（約1,045億円）相当の電力が盗難に。押収された約46万7,000ドル（約6,750万円）相当のマイニングマシン2,000台以上の処分が、エネルギー移行・公益事業担当副大臣のアクマル・ナスルッラー・モハメド・ナシル（Akmal Nasrullah Mohd Nasir）氏によって明らかになった。

国営電力会社であるTNB（テナガ・ナショナル・ベルハド）は、仮想通貨マイニングには費用がかかると常時主張。TNBは、許可されていないマイニング事業により、2021年だけで1億4,100万リンギット（約48億円）の損失を被っている。電力の盗難による損失は2022年も続き、1億2,500万リンギット（約42.7億円）に達し、2023年には6,710万リンギット（約23億円）に減少した。

ただし、調査データは、これが決して消えることのない問題であることを明確に示していることから、大幅な減少を見せている最中でも油断は禁物だ。

強制捜査、逮捕、機器破壊

マレーシア政府は、犯罪増加を受け、電力窃盗の阻止に向けた取り組みを強化しており、2021年には、当局が1,300万ドル（約18.7億円）相当のマイニングリグを押収し、500人以上を電力の違法使用で逮捕している。

有名な事例では、警察が盗難機器を破壊行為を公開することで犯罪者への強力なメッセージを送っている。

マレーシアでは仮想通貨のマイニングは合法だが、ライセンスに関連した明確なルールがないため、抜け穴が存在する。マイナーたちは、家庭や企業にて、適切なメーターや許可を得ずに電力を大量消費し、事業をすることでグレーゾーンを悪用。

違法マイニングは通常、地域の電力網に過度の負担を強いる。その結果、停電や火災、公共インフラへの損害を引き起こす。このような違法接続は住宅所有者を危険にさらし、正規利用者に不当に高い料金を支払わせているのが現状だ。過負荷は送電線や変電所の損耗を引き起こし、政府や電力会社にとって、それらを良好な状態に保つためのコスト増加につながっています。

調査報告書 にあるように、マレーシア政府が今後、マイニング専用ライセンスの発行やグリーン関税制度の導入、電力窃盗における法的抜け穴の解といった積極的な対策が急務えある。