米議会におけるデジタル資産をめぐる政治的対立がさらに深まっている。共和党が仮想通貨関連の3法案を来週から審議入りさせるなか、下院民主党の主要メンバーはこれに対抗する方針を明らかにした。

下院金融サービス委員会の筆頭理事マキシン・ウォーターズ議員(民主党)と、同委員会のデジタル資産小委員会の筆頭理事スティーブン・リンチ議員(同党)は、 11日の声明 で「共和党が推進する危険な法案群」に反対する姿勢を表明した。

共和党指導部は今月初め、ステーブルコイン、仮想通貨の市場構造、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する3つの法案を月曜日から審議する 意向を示していた 。

ウォーターズ議員は「共和党は、議会で危険な仮想通貨法案を拙速に通過させようとしている」と主張。「消費者保護や国家安全保障に不可欠なガードレールを欠如しているだけでなく、これらの法案はトランプ氏による前例のない仮想通貨詐欺に議会が加担することにもなりかねない」と批判した。

下院では共和党が僅差で多数派を握っているが、ウォーターズ氏やリンチ氏ら民主党の強い反発により、3法案すべてが本会議で可決されるかどうかは不透明な情勢となっている。

ステーブルコイン規制に関する法案「GENIUS法案」は、当初は民主党の一部から反対があったものの、最終的に上院を通過している。ただし、仮想通貨関連法案の多くでは、トランプ大統領による仮想通貨ビジネスへの関与も議論の的となっている。

リンチ氏は「共和党の同僚たちは仮想通貨業界の意向に従い続ける一方で、仮想通貨に潜むリスクや悪用の可能性を都合よく無視している」と非難した。

報道によると、トランプ氏は仮想通貨業界への投資により、数か月の間に個人資産を約6億2000万ドル 増やした とされている。この中には、トランプ氏の家族が関与する企業ワールド・リバティ・ファイナンシャルも含まれている。また同社が独自に発行したステーブルコイン「USD1」に対しても、議会関係者から懸念の声が上がっている。

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問題となっている3つの法案とは?

GENIUS法案のほか、共和党議員らは「反CBDC監視国家法案」を審議対象としており、これは米国政府によるデジタルドル開発を阻止する内容だ。また、デジタル資産の市場構造を確立するための「CLARITY法案」も含まれている。

ホワイトハウスの仮想通貨担当補佐官であるボー・ハインズ氏は11日、GENIUS法案が修正条項なしで可決され、大統領の署名に送られる可能性が高いとの 見通しを示した 。

一方、仮想通貨市場構造法案の可決は、上院での審議に焦点が移りつつある。6月には、上院銀行委員会のティム・スコット委員長、ハインズ氏、そしてワイオミング州選出のシンシア・ルミス上院議員が、9月30日までに法案を策定・提出・可決する方針を 発表した 。これは、下院でのCLARITY法案審議の「仮想通貨週間」より前のことである。

下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長は11日に公開された 「Thinking Crypto」ポッドキャスト で、「2023年以来、下院で議論されてきた市場構造法案の中で、今回の草案が最良の内容になるだろう。下院で採決された後は上院に送られ、スコット氏、ルミス氏、ジリブランド氏、ハガティ氏らがそれぞれの市場構造に対する見解を示すことになる」と述べた。

この法案は、仮想通貨に対する主要な米国金融規制当局──特に米証券取引委員会(SEC)および商品先物取引委員会(CFTC)──の役割分担を明確にする可能性がある。下院で提案された草案では、デジタル資産の登録・規制に関する権限の多くをCFTCに付与する内容となっている。

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