サムライウォレット共同創設者に懲役5年 プライバシーツール規制が焦点に
開発者責任とプライバシー保護の境界が問われる
ビットコイン (Bitcoin/BTC)向けプライバシーウォレット「Samourai Wallet」を共同創設したケオンヌ・ロドリゲス(Keonne Rodriguez)氏に、無認可の送金事業を運営した罪で懲役5年と罰金25万ドルが言い渡された。
さらに、犯罪収益とされる2億3,700万ドル(約364.5億円)の没収に同意した。今回の判決は、プライバシー技術の提供者がどこまで法的責任を負うのかという論点を鮮明にした。
ロドリゲス氏は、取引の出所追跡を困難にする「Whirlpool」や、複数の中継取引を経由させる「Ricochet」などの機能を通じ、無認可送金事業を運営したことを認めた。検察は当初マネーロンダリング(資金洗浄)共謀罪も提示していたが、司法取引によりこの罪状は取り下げられている。ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のデニス・コート(Denise Cote)判事は懲役5年と3年間の保護観察を言い渡した。共同創設者ウィリアム・ロナーガン・ヒル(William Lonergan Hill)氏への判決は別途予定されている。
検察は、両名が提供した機能がダークネット市場や麻薬密売、サイバー犯罪などに関わる違法資金の隠蔽(いんぺい)に利用されたと主張した。裁判資料には、ロドリゲス氏がメッセージアプリでミキシングを「ビットコインのマネーロンダリング」と表現した記録や、ヒル氏がオンライン掲示板で「追跡不可能」にするツールとして宣伝した記録が含まれる。
プライバシー保護と規制強化の境界線をどこに引くか
弁護側は、サムライウォレットは個人資産を自己管理し取引情報を保護するためのプライバシーツールであり、犯罪助長を目的としたものではないと主張した。
過去には盗難資金の追跡に用いられた事例も存在し、技術それ自体を犯罪と同一視すべきではないと強調した。一方、当局は今回の判断を、プライバシーツール開発者も状況次第で処罰対象となることを示す事例として位置づけている。トルネードキャッシュ開発者への有罪判決に続く流れの中で、開発者責任を問う動きが可視化した。
Clarity Actと控訴の見通し
米議会で審議中の「Clarity Act」には、オープンソースコードの公開や自己管理型ソフトウェアの提供のみを理由に開発者を処罰できないと明記する条項が含まれる。
政府閉鎖や議会停滞により成立時期は不透明で、ロドリゲス氏が立法上の救済を受けられる見通しは現段階では定まっていない。一方で、刑期短縮を求める控訴手続きは可能であり、今後の審理結果がプライバシーと規制の境界線に影響を与えるとみられる。
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