VivoPowerはノルウェーのデータセンター買収を発表した。再生可能エネルギーを活用し、ブロックチェーンからAIインフラへの転換を図る。買収額は約62億円。
持続可能なエネルギーソリューションを提供するVivoPowerは30日、ノルウェーにある稼働中のデータセンター施設を買収するための独占的な基本合意書を締結した。
VivoPowerは今回の買収を機に、事業戦略を大きく転換する方針だ。取得する施設はこれまでブロックチェーン計算の共同ホスティングに使用されていたが、同社はこれを「ソブリンAIハブ」へと再構築する計画を立てている。
この施設は現在、40メガワット(MW)以上の電力容量で稼働しており、そのすべてが再生可能な水力発電によって賄われている。さらに、2026年には追加で40MWの容量が承認される可能性があるという。
今回の戦略的転換の背景には、世界的な人工知能(AI)インフラへの需要急増がある。特に、大規模言語モデルのトレーニングや推論といった高密度のAIワークロードには、安価で安定した電力が不可欠だ。
ノルウェーの施設は、1キロワット時(kWh)あたり0.035ドル(約5.46円)以下という低コストで電力を利用できるほか、寒冷な気候がデータセンターの冷却に適している。また、50年間の土地リース契約により、長期的な事業の安定性が確保されている点も大きなメリットだ。
財務への影響と資金調達
発表によると、この取引の評価額は約4000万ドル(約62億4000万円)とされている。
VivoPowerは、この買収によりプロフォーマEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が約1000万ドル(約15億6000万円)増加し、グループ全体の黒字化に寄与すると見込んでいる。評価額はEBITDAの約4倍に相当する水準であり、同社にとって効率的な投資となる可能性がある。
買収資金の調達には、ベンダーファイナンスの繰延払いと転換優先株の発行を組み合わせる計画だ。
転換優先株は転換価格6.80ドル(約1060円)で設定され、年率6%の現物支給(PIK)クーポンが付与される予定である。ただし、この資金調達を実行するためには、株主による承認が必要となる。
今後の展望と課題
同社は2026年1月に株主総会を開催し、転換優先株の発行について承認を求める予定だ。承認が得られ、慣習的な条件が満たされれば、同月中に取引が完了する見通しである。
VivoPowerは、この施設を同社のデジタルプラットフォーム「Caret Digital」の下で、エネルギーを価値あるデジタル資産に変換する「Power-to-X」戦略の要として位置づけている。この戦略は、ビットコインなどの暗号資産マイニング事業とも共通する点が多い。
特にアルトコインを含む市場全体で、電力効率の最適化は重要なテーマとなっている。また、デジタル経済圏の拡大に伴い、ステーブルコインの活用も期待される分野の一つだ。
一方で、同社は将来的なリスクについても慎重な姿勢を示している。北欧における電力価格の変動やAIハードウェアの調達遅延、資金調達に対する株主承認が得られない可能性などが懸念材料として挙げられている。
しかし、再生可能エネルギー資産とデータセンターインフラの融合は、環境規制への対応や低排出量の計算能力を求める企業にとって重要であり、同社はこの需要に応えることで成長を目指す方針だ。
